とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

いや、これはすごい短編集だった 今野緒雪『マリアさまがみてる フレームオブマインド』

マリア様がみてる フレームオブマインド (コバルト文庫) 作者: 今野緒雪,ひびき玲音 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2007/06 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (182件) を見る 前巻から時間軸を遡って、写真をテーマにした10…

作者にも読者にも失敬な企画ではないかと ジョン・コナリーほか『BIBLIO MYSTERIES Ⅲ』

BIBLIO MYSTERIES III 作者: ジョン・コナリー,リード・ファレル・コールマン,アン・ペリー,杉江松恋 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2014/12/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本にまつわる奇妙な話3編(ジョン…

収録作品の内容とは関係ないところで低評価つけざるを得ない ローレン.D.エスルマンほか『BIBLIO MYSTERIES Ⅱ』

BIBLIO MYSTERIES II 作者: ローレン・D・エスルマン,ローラ・リップマン,ネルソン・デミル,杉江松恋 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2014/12/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1巻に引き続き今回は本にまつわる…

「秘密」の受け止め方 今野緒雪『マリアさまがみてる あなたを探しに』

マリア様がみてる−あなたを探しに (コバルト文庫) 作者: 今野緒雪,ひびき玲音 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2007/03/30 メディア: 文庫 クリック: 64回 この商品を含むブログ (244件) を見る 前巻ラスト、瞳子から祐巳への逆プロポーズ(?)の場面から…

瀟洒な企画と、いくぶん割増感のあるお値段 ジェフリー・デーヴァーほか『BIBLIO MYSTERIES Ⅰ』

BIBLIO MYSTERIES I 作者: ジェフリー・ディーヴァー,ケン・ブルーエン,C.J.ボックス,アンドリュー・テイラー,杉江松恋 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2014/12/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 米国の著名なミ…

侘び・寂びの消失 新久千映『ワカコ酒 3』『ワカコ酒 4』

ワカコ酒 3 (ゼノンコミックス) 作者: 新久千映 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2014/08/20 メディア: コミック この商品を含むブログ (23件) を見る ワカコ酒 4 (ゼノンコミックス) 作者: 新久千映 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2014/12/20 メデ…

というわけで部長の部下になりたいです ラズウェル細木『酒の細みち 36』

酒のほそ道 (36) (ニチブンコミックス) 作者: ラズウェル細木 出版社/メーカー: 日本文芸社 発売日: 2014/12/19 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る まあ出れば買ってしまうシリーズなので。昔から思ってたけど、部長はいっつも部下に高…

まさしく傑作 ニコラス・ブレイク『死の殻』

死の殻 (創元推理文庫) 作者: ニコラスブレイク,Nicholas Blake,大山誠一郎 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2001/10 メディア: 文庫 クリック: 4回 この商品を含むブログ (4件) を見る 再読。クリスマス読書です。英国空軍の英雄ファーガス・オブライ…

ミステリとしては小粒だけど、クリスマス・アンソロジーとしてはなかなか アイザック・アシモフ他/編 『クリスマス12のミステリー』

クリスマス12のミステリー (新潮文庫) 作者: アイザック・アシモフ,池央耿 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1985/10 メディア: 文庫 クリック: 3回 この商品を含むブログ (10件) を見る 再読。クリスマス読書です。新潮文庫で刊行されている、アシモフらア…

良くも悪しくも人物描写が上手い ネレ・ノイハウス『白雪姫には死んでもらう』

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫) 作者: ネレ・ノイハウス,酒寄進一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2013/05/30 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (21件) を見る 11年前に二人の少女を殺した罪で収監された男が、釈放され村に帰ってくる。同…

とうとう動いた!! 今野緒雪『マリア様がみてる クリスクロス』

マリア様がみてる―クリスクロス (コバルト文庫) 作者: 今野緒雪,ひびき玲音 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2006/12/22 メディア: 文庫 クリック: 17回 この商品を含むブログ (241件) を見る 完全ネタバレ感想です。いよいよバレンタインデー。リリアン女…

スリリングな設定とコミカルな空気 スチュアート・パーマー『五枚目のエース』

五枚目のエース (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ) 作者: スチュアートパーマー,Stuart Palmer,三浦玲子 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2014/07/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 1999年に新樹社から「エラリー・クイーンのライ…

いわゆる「クラシック」以前の「ヨーロッパの音楽」 隔週刊『クラシックプレミアム 25』

隔週刊 CLASSIC PREMIUM (クラシックプレミアム) 2014年 12/23号 [分冊百科] 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/12/09 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 特集は「グレゴリオ聖歌からバロックの始まりまで」ということで、バッハ以前の様々な「…

まさに「へうげもの」の世界 NHK日曜美術館「革新の極意 古田織部400年の時を超えて」

茶の湯の知識も芸術的素養も無い私ですが、織部が発見・想像した「美意識」は破格で前衛の極みだと思うし、それと同時にしっかりと日本人の感覚に根差しているものだなと感じる。「利休がいなければ織部は自由になれなかった」「織部がおらず利休だけだと桃…

積読本が増えるのが厄介 『2015本格ミステリベスト10』

2015本格ミステリベスト10 作者: 探偵小説研究会 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2014/12/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る このミスと同じく2007年以来のチェック。ランキング国内編は既読が『黒龍荘の惨劇』のみ。翻訳編は、あら…

ひさびさにチェックした「年末のお約束」 『このミステリーがすごい!2015年版』

このミステリーがすごい! 2015年版 作者: 『このミステリーがすごい!』編集部 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2014/12/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る チェックするのは2007年以来になります。ランキング国内編は全滅。連城三紀彦…

「犯人当て」としてはちょっとハードル高いと思う ミルワード・ケネディ『霧に包まれた骸』

霧に包まれた骸 (論創海外ミステリ) 作者: ミルワードケネディ,Milward Kennedy,西川直子 出版社/メーカー: 論創社 発売日: 2014/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 戦前、犯人当て懸賞小説として紹介された作品の完訳だそうだが、抄訳…

語り手ジャンニの魅力 ポール・アダム『ヴァイオリン職人の探求と推理』

ヴァイオリン職人の探求と推理 (創元推理文庫) 作者: ポール・アダム,青木悦子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2014/05/30 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 語り手兼探偵役を務めるジャンニは、イタリアの地方都市クレモナの名ヴァ…

祥子のひと言が読者の胸にも重く響く 今野緒雪『マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵』

マリア様がみてる―大きな扉 小さな鍵 (コバルト文庫) 作者: 今野緒雪,ひびき玲音 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2006/10/03 メディア: 文庫 クリック: 18回 この商品を含むブログ (261件) を見る 前作を超える内容の濃さ! 祐巳視点が一切無いことが効果…

織部の辿りつく先は……? 山田芳裕『へうげもの 19』

へうげもの(19) (モーニング KC) 作者: 山田芳裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/11/21 メディア: コミック この商品を含むブログ (5件) を見る 利休死後、数寄の第一人者となった織部が目指す豊徳合体。それは既に時勢を見極められない遅れたものと…

改めて読むと粗さが目立つが…… 赤川次郎『毒 POISON』

毒 POISON (集英社文庫) 作者: 赤川次郎 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2013/05/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 約20年ぶりにkindleにて再読。1981年刊行。飲んだ後正確に24時間後に死亡し、しかも現在の化学では絶対に検出できない未…

いや「ホラー文庫」は売り方が間違ってるわ 赤川次郎『失われた少女』

失われた少女 角川ホラー文庫 作者: 赤川次郎 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/16 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 約20年ぶりにkindleにて再読。1988年に角川文庫にて刊行されたもの(初読はこちら)が後に角川ホラー…

赤川次郎の「上手さ」が分かる作品集 赤川次郎『冬の旅人』

冬の旅人 (角川文庫) 作者: 赤川次郎 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/10/16 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 約20年ぶりにkindleにて再読。1986年刊行の本書は、世界的バリトン歌手ディートリヒ・F=Dを探偵役にした同題…

まさに「掘り出し物」! ラッセル・ブランドン『ウィンブルドン』

ウィンブルドン (創元推理文庫) 作者: ラッセル・ブラッドン,池央耿 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2014/10/31 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 世の中に埋もれた名作というのはあるもので、1979年に新潮社から刊行(原著は77年刊…

加速度を増してきた物語の熱量 今野緒雪『マリア様がみてる 仮面のアクトレス』

マリア様がみてる (仮面のアクトレス) (コバルト文庫 (こ7-49)) 作者: 今野緒雪,ひびき玲音 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2006/06/30 メディア: 文庫 クリック: 9回 この商品を含むブログ (288件) を見る いろいろな意味でシリーズ中でも屈指の内容の濃…

「上手いミステリ」ではないが「上手い小説」  ピーター・メイ『さよなら、ブラックハウス』

さよなら、ブラックハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ピーターメイ,Peter May,青木創 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/09/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る スコットランドの西方、ヘブリディーズ諸島最北のルイス島で、嫌われ者…