前作を超える内容の濃さ! 祐巳視点が一切無いことが効果を発揮している。周りの人間―祥子、由乃、乃梨子、そして瞳子―が祐巳をどのように見て、自分をどう評価しているのかが垣間見れる。コペルニクス的転回とまで言ってしまうと大げさだが、それくらいのインパクトがあった。このインパクトはそのまま、ラストで瞳子が晒された感情と重なってくる。祥子に指摘されたように瞳子は祐巳を見くびっていた。そして読者たる自分も祐巳のことをこれまで見くびっていたのだな。「大きな扉 小さな鍵」というサブタイトルは実に秀逸だ。
本筋が劇的に盛り上がり過ぎてそこばかりの感想になってしまったが、細かく落穂拾いすると、まずは白薔薇姉妹のイチャイチャっぷり。志摩子さーん! もう結婚しちゃえってあんたたち。そして演劇部部長!! 名前知らんけど、瞳子視点から見ただけでもすげー魅力的なキャラですわね。ポテンシャル的には蓉子さまや蟹名静嬢、武嶋蔦子さんクラスの逸材ではないかと思われます。この後祐巳と瞳子の物語に彼女がどう絡んでくるのか目が離せませんな!