利休死後、数寄の第一人者となった織部が目指す豊徳合体。それは既に時勢を見極められない遅れたものとなりつつあることが暗示された巻だった。象徴的なのが小堀作介との茶会だ。織部もまたそれを自覚しているような印象。利休が織部を認めた時と同じ感慨を、織部もまた作介にみたのだろう。時代の行く先を知る後世の人間もまた、織部と同じ明るい未来をここにかいま見ることが出来る。一方でこの漫画でも類を見ないほどの「毒」をまき散らしてきた大久保長安と織部の接点がまた、物語の行き先を容易に予想させぬものにする。作者の手腕、恐るべし。