とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

瀟洒な企画と、いくぶん割増感のあるお値段 ジェフリー・デーヴァーほか『BIBLIO MYSTERIES Ⅰ』

BIBLIO MYSTERIES I

BIBLIO MYSTERIES I

 

米国の著名なミステリ評論家・編集者オットー・ペンズラーが手がける電子書籍BIBLIO MYSTERIES”(本にまつわるミステリ)シリーズから選りすぐりの全十編を三冊に分けて刊行するという企画ものの第一冊目。今回はサスペンス編となる。ジェフリー・ディーヴァー、ケン・ブルーエン、C.J.ボックス、アンドリュー・テイラーによる作品はどれも粒ぞろい。特にテイラーは米国作家によるほか三作に比べて苦み走った英国ミステリの佳品で、実に自分好み。杉江松恋氏によるビブリオミステリ概論や各作家紹介も読みごたえがある。
またどのお話も、愛書家なら思わずうなずいてしまう描写や台詞が多くニヤリとさせられる。……しかしだ。無粋なことを言うようだが、コストパフォーマンスはあまりよろしくない。このボリュームで一冊1300円であと二冊買うふんぎりをつけられるかどうかというと、なかなか微妙では。版元が文芸書初挑戦の会社らしく、手探り感のある企画なのかなと思います。内容は一般受けすると思うけど、企画や売り方がマニア向けという印象がぬぐいがたいような。まあ三冊まとめて買ってあるので、残りも読みますが。