やや、これは感想が書きにくい。冷徹で残酷で、時にユーモラスでグロテスク、というオコナーの特徴はよく出ている。その特徴は、短編ならば「独特の世界 観」ということで割り切って読める。
でも長編だと、これが読者と作者の関係を遮断してしまうようだ。もともと共感を呼ぶタイプの作風でないことは、短編集で理解していたつもりだが、ここまで強烈に「拒絶」の意図を感じてしまうと、いったいこの作品は何を目的として書かれたのか、理解できなくなってしまう。
ただ一つ言えるのは、オコナーは「狂信」を批判的に見つめながらも、あるがままに受け入れようとしている、ということだ。それが敬虔なカトリック作家としての諦念なのか、生涯を南部で過ごした米国人としての境地なのか、その判断はつかないが……。
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