D県警を舞台とした4つの短編が収録された警察小説。解説でも指摘されていることだが、警察小説といっても事件を捜査する現場の人間の姿が描かれているわけではなく、警察という組織の人事や監察など、管理側の立場から描かれているのが特徴である。どうしても『踊る大捜査線』を思い出してしまうが、単行本の刊行時期を考えると、こちらの方が先なのだろう(というか、踊る～が影響を受けていたりするのかな？)。
要するに警察という巨大組織の危機管理をテーマにしているということか。非常に面白く感じつつも、遊びや色気が無い、生真面目な小説だなあと思えて仕方ない。
どの話にも共通して二渡という人物が登場するが、それぞれの話の中で微妙に描かれ方が違っていて、警察という組織の巨大さを上手く表現していると思った。
