- 作者: マイケルギルバート,Michael Gilbert,今井直子
- 出版社/メーカー: 長崎出版
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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ポスト黄金時代の英国ミステリ作家の中でも、特にイメージがつかみにくいマイケル・ギルバートのデビュー作なんですが、これがまたビックリするくらい直球の本格でした。
探偵役は『スモールボーン氏は不在』にも登場するヘイズルリッグ主席警部。舞台は外界と隔絶した聖職者の暮らす居住区。飛び交う中傷の手紙 はやがて殺人に発展。アリバイ崩し、そしてクロスワードパズル。
こうした本格ならではの設定やガジェットが用いられつつ、ストーリーはあくまで地味かつ丁 寧に語られていく。まさに渋い英国本格、という感じで、非常に私好みの内容でした。
大聖堂を舞台にしたミステリと言うと、キャサリン・エアードの『そして死の鐘が鳴る』とかクリスピンの『大聖堂は大騒ぎ』辺りが思い出される。トリック的な意味ではそれらに比べると小粒ですが、「神の住まう城」たる聖界において、俗界の極みのごとき人間の悪意が横溢する、というブラックな構図は、ギルバー トの書き方が飛びぬけてるように思います。