とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

『最良の嘘の最後のひと言』

 限定された空間と、制限されたルール内で、超能力者たちがお互い策略を駆使し騙し合いに臨むコンゲームを描いた作品。誰もが設定の裏を突きながら目的を達成しようとするわけだが、後だしじゃんけん的な違和感はほとんど感じなかったのは、その設定が物語進行上、適正に単純化されているからだろう。

終盤は二転三転する展開と、その先の真相が予想できず、完全に騙された。細部まで考え込まれた仕掛けは見事だとは思うが、何処かに煙に巻かれた感があるのは、このタイプの小説を読みなれていない自分の責任か。再読すれば印象は変わるかもしれない。

初めて読む作者だったが、奇抜な設定ありきのタイプの作品にしてはなかなかにキャラの書き分けも達者で、よい意味で予想が裏切られた。大森望の解説(これがまた読者に予断を与えずになお、興味と関心を引く内容だった)に従い、いずれ他の作品も読んでみたい。