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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

再読して初めて触れた「その女」 ピエール・ルメートル『その女アレックス』

読書 読書-翻訳小説
その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

 

結局一日おきで再読。以下、ネタバレにつき文字反転。

再読して初めて私は「その女」アレックスに触れることが出来た。第一部・第二部の、アレックス視点のあらゆるセンテンスが胸に迫る。しかしだ。だからと言って私はアレックスの行いを全肯定できるのか? そして最後の司直の判断を是とするべきなのか? もちろん否定はし難い。だからと言ってそれをよしとすることも、私には不可能だ。だから私は考え続ける。それだけの意味を与えてくれるフィクションだった。
「肩透かし」という感想が目立つのは、叙述トリック的な趣向を持っていると捉えられやすいからだろう。まあ、これほどの話題作となるとセールストークも独り歩きし、それが未読の読者に予断と偏見を与えてしまうからに他ならない。でもちょっと待ってほしいんだ。少なくとも「驚き」が軸にあるミステリではないと思うんですよ、私は。自分の価値観を問う物語なんだと思うんです。
だってさ、これって警察小説としてシリーズ2作目なんでしょ。それでこの結末だぜ。「それでいいの?」っていう問いは、否定的であれ肯定的であれ、当然ながら湧くべきだと思うし、その問いは、物語の深淵から発せられてるわけですよ。そう。だから私は考え続けるんだ。この物語に対して。それがフィクションであることを前提として。こういう力があるからこそ、物語って素晴らしいなと感じるのでした。