とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

剣戟アクションとしての魅力と百合作品としての魅力 林家志弦『はやてブレード2 3』

はやて×ブレード2 3 (ヤングジャンプコミックス)

はやて×ブレード2 3 (ヤングジャンプコミックス)

 

今年出会った創作物の中で最も甘美かつ笑える至福の読書体験を味あわせてくれたのが、作者の『ストロベリーシェイク』であり、引き続き読んだこの「はブ」も私の趣味どストライクでありまして、本当に林家志弦は偉大な作家だと思うのです。少なくとも私にとっては。

「女の子しか出てこない剣戟アクション」というのが売り文句ですが、行われていることは基本的に少年漫画のノリでありその辺は作者独特のブっとんだギャグセンスがその空気を醸し出している所以だと思います。
ですがその一方で、あまりに膨大なキャラクター陣ひとりひとりを使い捨てにすることなく、細やかに丁寧に個性立てている気の配り方は、女性作家ならではの配慮であると感じ、またそこに百合百合しさがほとんど見受けられないところにも、正統派(というには少々脱線が過ぎますが)剣戟アクションなのだという自負を感じ取れるわけです。

というわけで結局なにが言いたいかというと、今回も「物語がぜんぜん進んでねえ!でもおもしれえ!」ということであります。まあ、伏線が丁寧に貼られているので最終的にすべて回収されれば非常に満足なのですが、あまりに脱線し過ぎると打ち切りになるんじゃないかという懸念が生じ、どうか無事最後まで描ききって欲しいというのが切なる思いであります。

以下、余談です。先ほど「百合百合しくない」と言ったな。あれは嘘だ。今回は静久とはじめの、会長を巡るドロドロトークが素晴らしい妄想ポイントでした。「私の方が詳しいんだからね!」というお互いの意地と「もう本当に会長って素敵よね♪」っていう共通認識のギャップが溜まらん。あの描写だけでご飯3杯行けると思います。というわけで4巻も楽しみだなと。