- 作者: ジェラルディンブルックス,森嶋マリ
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2010/01/21
- メディア: 単行本
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サラエボ・ハガダーという、美術史を書き換える価値を持つ古書の歴史を巡って、現代と過去の視点が交互に交わされていく物語。第2回翻訳ミステリ大賞受賞 作なのだけど、個人的にはこれはミステリとは認めがたい。歴史ロマンスというのが相応しいのではないかな。
とはいえ綴られる物語は非常に骨太であります。 古書の来歴を辿る中で読者に示されるのは、ユダヤ人の苦難の歴史。そして現代の視点でも、痛ましきボスニア=ヘルツェゴビナ紛争が背景となっており、時代 が変わっても人の愚かさは変わらぬ、という現実を見せつけられる。
気になったのは、主人公格である現代の古書修復家ハンナの性格や行動が、あまり共感できないところだろうか。彼女に関わる人々も含め、どうもご都合主義的に話が進んでいくのが気にかかります。