近世以降において日本列島の政権と朝鮮半島の政権が最も友好的だった260年間、すなわち江戸時代の両政権の外交を中心に、その前後も含めた日朝関係を概略的に説明した本。
在日韓国人二世の著者ならではの、日本人には耳慣れないエピソードが多く紹介されていて興味深い。諸手を上げて賛成はしかねるが、こちらが主張したいこともあれば相手が主張したいこともあるし、お互い隠しておきたいこともある、という面倒くさい問題が、この本を通じて見えてくる(現代で も過去でも)。
そして何よりも、外交とは、きれいごとばかりで通じるわけはなく、まずは自国の国益が第一であるという現実を踏まえること、そしてそれでも、相手の体面を保つことを忘れてはならない、ということを教えてくれる。