マリア様がみてる 薔薇の花かんむり (コバルト文庫 こ 7-55)
- 作者: 今野緒雪,ひびき玲音
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/10/02
- メディア: 文庫
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ついに祐巳と瞳子は姉妹の契りを結ぶ。その場面は意外やあっさりと描かれていたが、ここに至るまでの過程と「行くよっ、瞳子」という祐巳のセリフを思うと、実に感慨深い。これは始まりではなくて、通過点なのだなと。そして瞳子を巡り演劇部部長と祐巳の接点がついに! 祐巳が山百合会以外の生徒に胸の裡をさらけ出したのってこれが初めてなんじゃないかな。それだけ瞳子を巡る二人の思いというのが強かったのだなと分かる。そして同時に、3年生たちの卒業も間近に迫る。令が祐巳に託した「遺言」。そして祥子と祐巳の絶妙な距離感。
誰かとの新しい関係性が結ばれると同時に、それまでつながっていた誰かは去っていく。それは現実でもよくあることだが、リリアンという学園ではより強く実感させられる。とはいえ、すべてがリセットされるわけではなく、ずっとつながっているのだと思えばそこに寂しさを読者が感じる必要もないことだ。作中の祐巳が、それを示している。うん、いい物語だな。
書き忘れていたが、薔薇の館で祐巳と瞳子が姉妹となったことを報告した時の乃梨子の反応とイラストが!! いい子だなー。この二人の友情は美しい。いやこの二人に限らず、マリみてで描かれる友情は美しい。築山三奈子も久々に活躍してて楽しめましたw