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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

まさかの再会と、その歓喜 浦沢直樹/長崎尚志『MASTERキートン Reマスター』

MASTERキートン20年ぶりの完全新作。一挙8つのエピソードが掲載され、作中では10年の月日を経たキートンその他レギュラーキャラが顔を見せる。言っても仕方ないことだが、絵柄が現在の浦沢の絵柄であり、違和感はある。しかし物語の方は紛れもなくキートンそのものだった。第1話「眠り男」は、決着シーンでのファンをニヤリとさせる演出が心憎い。第5話「女神とサンダル」は全シリーズ通して屈指の傑作といってよいだろう。父・太平の存在とともに、あの名作「遥かなるサマープディング」を連想させる終わり方なのも上手い。
そして娘・百合子については途中いくつかの伏線を張り巡らしつつ、第7話「マルタ島の女神」に結実する。この二人の親子関係は本当に素敵だ。大トリの「栄光の八人」では、キートンSAS時代の思い出が掘り下げられる。20年たっても変わらないキートンの甘さと、その裏返しとしての強さを見事に表現したエピソードだ。
というわけで期待していた以上に大満足の内容であったと言えます。しいて言うならレギュラーキャラの中でチャーリーも登場させてほしかったな、というくらい。とにかくこのまま元のスタッフで完全アニメ化してほしいくらいであるが、そこまでは贅沢な話か。しかし20年の時間の中で、キートンが巡り合う事件の性質はかつてのものよりさらに暗い話が増えている。そこに一抹の悲しさを覚えつつ、それでもキートンたちと再会できた喜びに、今はただ浸っておきたい。ありがとう浦沢直樹長崎尚志