とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

『ダンジョン飯』4巻

 

ダンジョン飯 4巻 (ハルタコミックス)

ダンジョン飯 4巻 (ハルタコミックス)

 

いよいよ物語は佳境を迎える。ファリンを飲み込んだドラゴンの棲みつく階層までたどり着いたライオス一行は、かつてない真剣さで攻略準備に取り掛かる。もちろんこれも、それまで退治し、料理してきたモンスターに臨んだ際の創意工夫が描かれていればこその説得力だ。戦闘シーンも迫真の演出で、作者の技量がうかがえる。復活したファリンが意味ある一言を発する前に腹が鳴り、「まずは食事だ!」とつながる流れは、生きるということは食べるということだというこの作品の根源的なテーマを示していると言えるだろう。

もちろん、要所要所で笑いのツボは外されていない。ライオスの感動的な感謝の言葉が繰りだされる絶妙な間の悪さや、まさかのケン助逃亡、チルチャックの「よくわからない言語」での数々の罵倒、大怪我を短時間で治す際に生じる回復痛の設定、などなど。

巻末のオマケ漫画では、ライオスの「俺も竜は好きなつもりだったけど、本当の竜好きな人たちを見ると自分の中途半端さが~」ってセリフが、ジャンルを問わず「マニア」の心をくすぐるだろう。

一方で、物語のひとつの目標が達成されたとはいえ、その外に拡がる世界の姿も見えつつあり、これからライオスたちがどんな冒険を続けるのかについて不安と期待を抱かせてくれる。今後も大いに楽しめそうなシリーズであります。