- 作者: ピエールバイヤール,Pierre Bayard,大浦康介
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2001/09
- メディア: 単行本
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『アクロイド』読書会用に再読。著者はフランスの文学者で精神分析療法の実践家でもある。かいつまんでいうとポアロの推理は妄想の産物で、真犯人は別にいるという独自の推理を、シェークスピア作品の読解を応用しつつ開陳している。
『アクロイド殺し』という作品が持つ「ある二重性」を弱点としてそれを根拠に着実な思弁を重ねていくわけだけど、この思弁そのものが専門知識とレトリックに飾られた恣意性を持ってしまう、ようにも読める。テキストの読解としては秀逸だけど、ミステリ作品の楽しみ方としては凡庸だな、と再読して感じました。