たぶん『クライマーズ・ハイ』以来の横山秀夫読み。今年映画化もされた話題作であるが、評判に違わぬさすがの面白さだ。
D県警で広報官を務める三上の視点で物語は展開する。刑事部と警務部の対立構造、警察内部における広報の立ち位置、マスメディアとの関係性、といった組織が抱える問題・軋轢の部分が、三上という人間の抱える私的な問題と合わさって、読者の興味を惹きつけて離さない。
さらに「ロクヨン」と称されるD県警史上最悪の未解決事件が浮かび上がることで、もとより堅牢な物語の構造がさらに奥行きを増していく。怒涛の勢いで下巻へ。