とりあえずかいてみよう

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中世の日本人は強かだった 橋本雄『偽りの外交使節』

偽りの外交使節―室町時代の日朝関係 (歴史文化ライブラリー)

偽りの外交使節―室町時代の日朝関係 (歴史文化ライブラリー)

 

 本文冒頭から抜粋。

「見ず知らずの他人がとつぜん訪ねてきて、自分の友人や知人などからの使いだと語り「手紙を託されたので家に入れてほしい。お茶でも淹 れてくれ。昼時だからご飯も食べて行こう」などと言ってきたら、どうか。普通は家に入れないだろう。ところが中世の日本人は、これに類することを朝鮮に繰 り返していた」

というわけで日朝間の様々な文献を通じて、当時の日本人の「えげつなさ」が立証されていく。これは面白い。現在、類型的に語られる彼我の 関係図の反転である。特定の立場に偏っている人には受け入れがたいかもしれない。

断っておくが、著者はそういう立場の人たちが決めつけがちな「売国的」「自虐的」な史観の持ち主ではない。外交において求められる「強かさ」というものの 重要性を痛感させられる内容であり、さらに言えば中華思想における朝貢貿易冊封体制が、中国の自認していたほどに絶対的なものではなかったことを理解さ せる(これは日本以外の事例でも挙げられる)。

以前読んだ『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』にもつながる考え方だった(こちらは、主に韓国の 立場から見た本だったが)。