とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

「語る」ことの難しさと楽しさ 岡田暁生『音楽の聴き方』

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

 

著者は「音楽を聴く」とは「音楽を語る」ことだという。そして音楽を語るためには、まずどういう聴き方をしているのか、「型」を知らねばならない。ということで、特にクラシック音楽を窓口として、音楽が聴衆に受容されてきた歴史を振り返っていく。

様々な音楽家の逸話が紹介され、音楽をめぐる圧倒的な言辞が 積み重ねられる。結果として、「音楽の聴き方」の本質は、曖昧にされる。それは著者も自覚的だったようで、あとがきで反省を述べている。だが本書に溢れる 音楽への愛は、読者が音楽に近づくための強力な架け橋となってくれるだろう。

自分自身が今後指針としたい本書での指摘は「どんな音楽が好きなのかを自覚する」「音楽を語る語彙を増やす」「過度に集中しないで聴く」といった辺り。本当は「自分でも音楽をしてみる」という最後の著者からのメッセージが、いちばん大事なんだろうけど。