とりあえずかいてみよう

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看板に偽りなき解説書 柳沢新治『能・狂言の見方・楽しみ方』

能・狂言の見方楽しみ方

能・狂言の見方楽しみ方

 

著者はNHKで古典芸能番組のディレクターを長く勤められた方だという。というわけで本書の内容も専門的な視点ではなく、初心者に伝わってきやすい視点から語られているのが最大の特徴だろう。

ビジネスとしての能・狂言の現状や問題点などにも踏み込まれていて、ちょっと下世話な部分があるのも事実。とはいえ タイトル通りの内容に徹底していて、「そもそも能って何なの?」という疑問には一通り答えてくれるのは嬉しい。「コトが起こるのを描くのではなく、モノが 現れるのを描く」のが能・狂言の本質らしい、ということは理解できた。

武家礼法と能・狂言の関わりから、京都弁・大阪弁が異質の言語だという話(元ネタは司馬遼太郎だそうだが)は、根拠はともかく面白い説だと思った。