とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

『熊と踊れ』上・下

 

熊と踊れ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 
熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 ネタバレです。

スウェーデンで実際に発生した世間を震撼させた強盗事件をテーマにした内容で、作者の片割れトゥンベリは強盗犯の兄弟の一人だったというのが衝撃的。「事実は小説より奇なり」と手あかのついた言葉を持ち出すつもりはなく、誰よりも事実を間近で見た人間から得た情報を再構成しつつ、その中で「答えの出ない問い」を読者に叩きつけるルースルンドの筆力に、虚実皮膜の深奥を感じた。ドメスティックな暴力などのテーマは好みのタイプの内容ではなかったが、それだけに印象に残る作品だった。