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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

あの戦争は不可避だったのか 川田稔『昭和陸軍全史1 満州事変』

昭和陸軍全史 1 満州事変 (講談社現代新書)

昭和陸軍全史 1 満州事変 (講談社現代新書)

 

日本が泥沼の戦争の道に突き進んでいく大きなきっかけとなった満州事変の展開を辿りつつ、「昭和陸軍」が如何にして誕生し政党政治が終焉を迎えるかを仔細に論じる。また若手中堅幕僚の集結する「一夕会」の中心メンバー永田鉄山と石原莞爾、それぞれの戦略構想も比較され、彼らが「来るべき戦争」に備えた軍と国家の姿を提示する。
様々な段階で「引き返す」ことあるいは「別な道を往く」ことはできたはずだと思わされる。それらを拒否して破滅の道へ歩んでいく責任は、永田や石原だけに帰せられるものではなく、また政治家や天皇にも帰し難い。
それでも日本が敗戦を迎えた後、誰かが責任を取らねばならなかった。東京裁判はまさにそのために行われたのであり、結果的に戦後日本社会の進む方向も決定づけられた。
現在、そうした戦後レジームからの脱却が声高に叫ばれている。彼らの主張に賛同すべき部分は、確かにあると思われる。だからと言って、その後に築かれる社会が戦前への逆戻り、ということはあってはならない。だからこそ当時何が起きていたのかを知り、何をなすべきだったのかを考えることは、今後ますます重要になっていくはずだ。