とりあえずかいてみよう

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「ミステリーの女王」ならではの大胆な仕掛け アガサ・クリスティー『予告殺人』

予告殺人 (1976年) (ハヤカワ・ミステリー文庫)

予告殺人 (1976年) (ハヤカワ・ミステリー文庫)

 

再々読。7/16のミス・マープル読書会の課題図書。
真犯人とその行動原理を完全に記憶していた状態で読んだため、作者の企みがよく理解できた。誤導の意地悪さはさすがの手練手管である。一方で霜月蒼氏の『アガサ・クリスティー完全恋略』でのレビューを読み返すと、意外なほどに酷評されていて驚いた。そのロジックは一貫しており、確かに肯ける指摘が多い。無味乾燥な会話は初読時には極めて単調なものに映りかねない。不可解な謎の演出も地味で、あまり目立たない。そうした欠点を確かにはらみつつも、やはり作者の仕掛けを称賛したいと思う。
それにしても数あるマープルものの中からなぜこの作品が課題図書となったのかが気になる。移民の問題などが描かれているため、英国のEU離脱問題と絡めて読むと面白いのかも、などと思ったりした。この辺の話は読書会当日に期待。

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