とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

なにこの超展開 L.P.デイヴィス『虚構の男』

虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)

虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)

 

ドーキー・アーカイヴという叢書の劈頭を飾るに相応しい怪作にして快作。
伝統的な英国の田園小説めいた雰囲気からどんどんのっぴきならない展開をたどり、最後に着地したところは、いやもうとにかく「読んで体験してくれ」としか言えんのです。
若島正が解説でいう「早過ぎたジャンル混淆作家」というのが全てなんでしょうな。印象としてはブレイク・クラウチの『パインズ』に似てるんだけど、あっちが現代アメリカらしさ溢れるドラマっぽい展開であるのに対し、こちらは往時の英国らしいやや歪んだユーモアが楽しめる。好みとしては断然こっちです。

hidmak.hatenadiary.jp付録の若島正と横山茂雄の対談を収録した小冊子ががまたすごく面白いので、書店で見かけたらこの冊子だけでも読んでみるといいと思うよ。