とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

趣向を凝らした名編4編収録 横山秀夫『動機』

動機 (文春文庫)

動機 (文春文庫)

 

警察手帳を一括管理するシステムが裏目に出て、一挙に30冊も紛失するという事態が発生した表題作「動機」や、女子高生殺しの罪で10年の服役を終えた中年男性に、殺人の依頼が舞い込む「逆転の夏」、地方都市の地域紙の部数争いを巡る女性記者の孤独と奮闘を描く「ネタ元」、審理中に居眠りをしてしまった裁判官の葛藤が語られる「密室の人」、計4編が収録。
どれも非常にレベルが高い。特に「逆転の夏」は発端の奇抜な魅力と、終盤での構図の逆転が愉しめる傑作。オチの付け方が他の作品とは際立って異なる「密室の人」の読後感も忘れがたい。