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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

巨匠のいぶし銀の魅力 ジョン・ディクスン・カー『ハイチムニー荘の醜聞』

読書 読書-翻訳小説
ハイチムニー荘の醜聞 (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ハイチムニー荘の醜聞 (1983年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

再読。探偵役にヴィクトリア朝の実在の名警部ウィッチャーを配し、幽霊騒動を絡めた、巨匠お得意の時代ミステリ。

『ニューゲイトの花嫁』、『喉切り隊長』といった歴史ミステリ・時代ミステリに比べると、派手さには欠ける。その分純粋な探偵小説としては第一級の出来栄えであると言えるだろう。巧妙な伏線、鮮やかなミスディレクション、高い物語性、すべてが融合した、まさに「傑作」の名に相応しい作品だ。

骨格だけ取り出せば実にシンプルな仕組みなのに、上記した三要素が渾然一体となって、読者はクライヴと一緒にこの怪事件の中をさまようこととなる。いぶし銀の渋さが光る名作。