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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

良くも悪しくも人物描写が上手い ネレ・ノイハウス『白雪姫には死んでもらう』

 

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

白雪姫には死んでもらう (創元推理文庫)

 

 11年前に二人の少女を殺した罪で収監された男が、釈放され村に帰ってくる。同時に二人の少女のうち一人の遺体が発見される。男は冤罪だったのか。村の秘められた過去が少しずつ暴かれ始め……。『深い疵』に続くオリヴァー&ピアのコンビのシリーズ第4作。まー陰鬱な話です。筋立ては横溝正史を彷彿とさせるが、あくまで警察小説であって、緻密な伏線を拾い上げる謎解きのカタルシスよりは同時進行で錯綜する様々な人間の思惑が絡み合うところが主眼かと。結果として爽快感も救いもほとんど無い結末だが、現実ってこんなもんだろうとも思う。

私はどちらかと言えば『深い疵』の方が好みだったけど、それはミステリとしての両者に差があるというわけではなくて、オリヴァー首席警部の役立たなさとメンタルの弱さが、本作の方ではやたら強く出ていてイラつかされたせいです。『深い疵』でもその兆候はあったけど、こっちは本当にひどい。シリーズものということで、今後もオリヴァーがいかなる人生を歩むのか付き合わされることになるのだろうが、ちょっと勘弁願いたい気がする。
とはいえその部分の補って余りあるくらいにピアの人物描写は活き活きしていて魅力的だし、その他多くの捜査関係者を取り巻く描写も(重苦しいけど)読みごたえがある。そういう意味で、しっかりした筆力のある作家なんだろうなということがよく分かる作品でもありました。