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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

スリリングな設定とコミカルな空気 スチュアート・パーマー『五枚目のエース』

 

五枚目のエース (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

五枚目のエース (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

 

1999年に新樹社から「エラリー・クイーンのライヴァルたち」という叢書で刊行された『ペンギンは知っていた』(原著は1931年刊)でデビューしたヒルデガード・ウィザーズを探偵役とするシリーズの、1950年発表の作品。殺人の罪で死刑判決を受けた男の刑執行9日前にミス・ウィザーズが冤罪の可能性を探り出す。タイムリミットが迫る中、真犯人の正体は?という緊迫感の高い内容だが、横溢したコミカルなテイストが空気を和らげている。本格ミステリとしての純度は『ペンギンは知っていた』の方が上だろうが、読みやすいのはこちら。

森英俊氏の解説でも指摘されているように、その内容からクイーンの『Zの悲劇』やアイリッシュの『幻の女』が連想される。これらと比較すると完成度の面でちょっと辛く、特に犯人の行動原理に疑問を覚える。これまた森氏の指摘だが、初期の作風からの変化を感じさせる異色作とのことだけど、解説で紹介されてる他の作品の方がもっと面白そうなんだよなあ……。特にミス・ウィザーズの愛犬タリーが初登場するという作品が気になる。いつか原書房か他の出版社で訳してくれると嬉しいなあと。