とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

みんなで食べると幸せ 川合マコト『幸腹グラフティ 1』

幸腹グラフィティ (1) (まんがタイムKRコミックス)

幸腹グラフィティ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 

料理が得意な一人暮らしの女子中学生町子リョウと、リョウの家に週末だけ泊まりに来る森野きりん、リョウの友人で謎めいた椎名の三人が「美味しそうにモノを喰う」四コマ漫画。食事中の人の表情にそこはかとないエロさが漂うのは、食欲と性欲がともに人間の根本的欲求だからでしょう。ただし可愛い女の子に限りますが(キリッ

ともあれ美味いモノを食うのは誰しも至福の体験であり、それを人に伝えたいという思いは、よしながふみの『愛がなくても食ってゆけます』と共通します。それは良い本を読んだ感想を人に伝えたいという思いにも重なるはず。

一方でモノを食う時には少々の下品さが出てくる場合もあり、その辺は久住昌行原作の『花のズボラ飯』辺りが的確に表現しています。この漫画も、ややもすると下品になりかねないところがありますが、そこを絵柄の萌え要素と設定の百合風味でカバーしてるのが特徴。一つ一つの四コマ作品がしっかり構成されていて、なおかつ全体を貫くストーリーもブレてないので、非常に印象が高い。とりあえずコンビニで買いこんだおかずをあれだけ色っぽく食われたら、井之頭五郎もビックリじゃないかと思います。すばらしい。

また、漫画でいちばん素晴らしいのは「仲のいい誰かと一緒に食べるふつうのご飯は、ひとりで食べる他のどんな高級レストラン・料亭のご馳走よりも美味しい」というメッセージが込められているところですね。それがこの漫画を、他のものを食う漫画と差別化させている要因だと思います。