とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

良質の笑いを提供するアンソロジー 風見潤 編『ユーモアミステリ傑作選』

ユーモアミステリ傑作選 (講談社文庫)

ユーモアミステリ傑作選 (講談社文庫)

 

再読。これもいわゆる「講談社文庫黒背」のアンソロジーです。ユーモラスなミステリ、あるいはパロディ・ミステリばかり9編を収録。掲載されている作家は ドナルド.E.ウェストレイク、ウィリアム・ブルテン、フランク・グル―バー、ジョシュ・パクーター、ジョン・スラデック、ロバート.L.フィッシュ、 アーサー・ポージス、ジョイス・ポーター、リチャード.S.ブラザーという面々。相変わらずレベルの高い作品が目立ちますが、お気に入りは以下4編。

◆ウェストレイク「殺人の条件」:妻ジャニスを殺す為、「わたし」は入念な計画を練り上げ、ついに実行に移す。その直後から運命の歯車は喜劇的な方向に回り始め……。典型的なドタバタコメディ風犯罪小説。ラストの「わたし」の独白が笑える。

◆グル―バー「ソング・ライターの死」:クエイドとチャーリーの二人組 はホテルの酒場でビリーというしがない作曲家志望の男と知り合う。しかし傍のビールを一飲みした直後彼は死んでしまった……。探偵役の二人組と刑事との間の掛け合いが実に面白い。テンポが小気味よい佳作です。

◆パクーター「サム、シーザーを埋葬す」:アーティー・グッドマンは隣家に暮らすネロ・グリフェンと二人で「ネロ・ウルフ探偵局」を設立したが……。これは 傑作。冒頭から末尾の一行まで超一流のパロディ。解説によれば11人のグリフェン兄弟全員が名探偵の名前の持ち主で、各々を主人公にした話があるらしい。

◆ポージス「イギリス寒村の謎」:人口14人の英国最小の村を連続殺人が襲う。被害者は12人。村消滅の危機に現れたのは、セロリイ・グ リーンという米国人の探偵だった。これまた傑作。クイーンファンなら必読の価値あり。

なお、ブルテンの「クリスティを読んだ少年」は論創社『ジョン・ディクスン・カーを読んだ男』で、スラデックの「見えざる手によって」は角川文庫『有栖川有栖本格ミステリライブラリー』で読むことができますね。ご参考までに。