とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

粒ぞろいの名アンソロジー 英国推理作家協会編 『13の判決』

13の判決 (1981年) (講談社文庫)

13の判決 (1981年) (講談社文庫)

 

再読。いわゆる「講談社文庫黒背」のアンソロジーの一冊。かの英国ディテクションクラブの錚々たるメンバーたちが、「判決」をテーマに各人の個性を発揮し ている。とにかくその顔ぶれが豪華で、掲載順に、パトリシア・ハイスミス、H.R.F.キーティング、クリスチアナ・ブランド、ディック・フランシス、グエンドリン・バトラー、P.D.ジェ イムズ、マイケル・イネス、シーリア・フレムリン、マイケル・ギルバート、ナイオ・マーシュ、マイケル・アンダーウッド、ピーター・ディキンスン、ジュリアン・シモンズというもの。どれも粒ぞろいの 佳作ばかりだが、お気に入りは以下四編。

P.D.ジェイムズ「大叔母さんの蝿取り紙」名付け親から頼まれて、67年前の毒殺事件の真相を調べることになったダルグリッシュ警部。導入部分から結 びの一言まで、徹底的に練り上げられた本格短編の鑑。

◆C.フレムリン「コテージの幽霊」のどかな田園のコテージでばったり出会った若い男女の運命を、 表面はメロドラマ風、中身はブラックに描く。そのギャップが秀逸。

◆M.ギルバート「三人の評決」機密漏洩の疑いをかけられ上司に出頭を求められた青年の脳裏に、あらぬ疑いから上級生に呼び出されたパブリックスクール時 代の記憶がよみがえる。過去と現実の交錯を上手く機能させ端正にまとめあげる作者の手腕が光る。

◆M.アンダーウッド「学園殺人事件」学園一不人気の教 師を殺害しようと十二人の少年たちが計画を練り上げ、見事実行に移したものの、いつしか事態は思わぬ方向へ……。ユーモラスな味付けの中にもしっかりと苦 味の混じった典型的英国ミステリ。

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