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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

ワンアイデアの一点突破力は極めて高い 岡田秀文『黒龍荘の惨劇』

黒龍荘の惨劇

黒龍荘の惨劇

 

うーん、いい意味でも悪い意味でも唖然とする内容でした。日清戦争直前の明治日本を舞台に、広大な邸で起こる連続殺人。それも古いわらべ歌になぞらえて、というガチンコの本格な趣きではありますが、盛り上がりに欠ける展開が延々と続きます。
論理的に妥当な推理も検討され尽くされた上で着地点が見えぬまま、ついに明かされる真相は……はっきり言えば「開いた口がふさがらない」類のもの。それでも、残された謎への解としてはコレしかないのだろうなという意味では、アクロバティックに飛躍した美しきロジック、とすら言えるでしょう。


本格の理想形を「発端の怪奇な謎」「中盤のサスペンス」「終盤の論理的解明」とするならば、中盤の無骨さが極めて際立つ作品と言えます。そこも含めての狙いなのかもしれませんが……もう少し上手く書けるんじゃないかなと思わないでもない。まあ、古典的な探偵小説を好む人なら一読の価値はあるでしょう。