再読。魔術が実在する架空の欧州、英仏二重帝国を舞台にノルマンディ公に仕える主任捜査官ダーシー卿が活躍するシリーズの、日本オリジナル短編集。
魔術と言っても和製ファンタジーのような派手派手しさはなく、科学技術に置換可能な価値観である。「高度に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」という言葉 を裏返しともなり得ている部分が、このシリーズの醍醐味だろうか。
3つの短編を収録しているが、ベストは「藍色の死体」。新品の棺の中から藍色に染まった死体が発見される。魔術の存在が堅牢なロジックの中に採り込まれた本格ミステリの佳品でした。