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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

「語り部」としてのドイルの偉大さを示すシリーズ 『ドイル傑作集5 ラッフルズ・ホーの奇蹟』

ラッフルズ・ホーの奇蹟 (ドイル傑作集5) (創元推理文庫)

ラッフルズ・ホーの奇蹟 (ドイル傑作集5) (創元推理文庫)

 

非ホームズ物の短編をテーマ別に収録したシリーズの最終巻。今回はSF風味の短編を中心に掲載。科学が人類の永遠の進歩を約束すると思われていた時代、ドイルが科学と人類に向けたまなざしが興味深い。

表題作は片田舎の寒村に科学の粋を凝らした大邸宅を建てた謎の大富豪を巡るお話。ヴィクトリア朝的道 徳を極めるとどうなるか、という思考実験に読める。以下、トンデモ科学や心霊主義ネタの他愛もないけど妙に読ませる作品が続くが、白眉はラストの「危険!」。第一次大戦開戦前に書かれた架空戦記で、結果として見事な「預言」足りえている。

まあ時代性の故ですが、ひとつのアイデアだけで構築された物語がほとんどで、現代人から見ると平坦な展開ばかり。それでもどれも最後までしっかり読ませるのは、ひとえにドイルという作家が稀代のストーリーテラーであることを示しております。