天鳴地動(てんめいちどう) アルスラーン戦記14 (カッパノベルス)
- 作者: 田中芳樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
以下、ネタばれ感想につき、文字反転お願いします。
トゥース、グラーゼ、ジムサ、さようなら。「皆殺しの田中」の本領発揮、というところなんでしょうが、銀英伝みたいに大きな歴史の流れの中でキャラが死んでいくのではなくて、物語上の要請として死んでいく感じが強く、「16巻で終わりだから、早く殺していかないと」という投げやりな書き方には大きな不満が残ります。
「皆殺しの田中」というのは小説が完結した結果としてそう呼ばれたものであったはずなのに、自分で自分の通り名に縛られ過ぎてるんじゃないですかねー、作者は。
というか、荒川弘のコミック版が話題なので、それと時期を合わせてみました感が見え見えで、こんな有り様なら、もう書かないでいてくれた方がありがたいんですけどね……。
結局のところ、パルスと蛇王側の話がまったく面白くないという一点に尽きる不満なのですが、そことは関わらない脇役陣―ヒルメス、ギスカール、ラジェンドラといった面々―の描き方は、往時の冴えがあって面白く読めます。彼らを主人公にした外伝を書いてくれないもんですかねー。
あと、蛇王絡みで死んだキャラとしてはチュルクのカルハナ王がいましたが、この人の散り際もなかなか力が入っていてよかったです。
で、あと2冊で完結ですか。「物語を終わらせる」ことも大事ですが、生み出したキャラクターも大事にして欲しいなーという願いを込めながら、3年先か5年先の新作を待ち望みたいと思います。