とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

筋立ては平凡なれど、設定とキャラの魅力で成功 支倉凍砂『狼と香辛料』

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

 

中世末期~近世初期のドイツ・イタリア辺りがモデルと思しき異世界を舞台に、流通経済をテーマにした異色ファンタジー。

メインの登場人物は二人。乏しい資金と経験を持ち前の知力と 胆力で補う若き行商人ロレンス。そして古代から豊穣の神として語り継がれる狼の化身ホロ。テーマ・設定のオリジナリティに加えて、この二人の関係性が、大きな魅力を生んでいる。

ストー リーはちょっと平坦でご都合主義に過ぎる点も感じられるが、続編での進化を期待したいと思わせるだけの筆力も感じられる。どうして狼と「香辛料」なのか は、本編ラストで分かるようになっており、訴求性の強いタイトルに感心する。

ホロについては、歴史系やる夫スレでお馴染みの登場人物だったので昔から気になっていたキャラだったが、やはりオリジナルは各種やる夫スレでのホロよりも 更に魅力的だった。

ただまあ、物わかりの良すぎるきらいのあるロレンスも含めて、魅力的な両者の関係性の反面に、ヲタク系男子の中の「こんな女の子がいたらいいな」的願望(もちろん俺の中にもある)を強く感じてしまって、ちょっとだけ辟易もした。この辺り、続編でどういう描写になっていくのか、期待したい。