「原則」「鑑賞」「技巧」「発展」の四部構成で、古今東西の本格ミステリを分析し、時にはネタバレ込みで解説している。
ネタバレ該当作についてはそれぞれの章で事前に警告があるので、読むか読まないかは自己判断が可能。未読作品が含まれるいくつかの章を敢えて読んでみたりもしたが、作品そのものへの興味を 失わせる書き方をしていないのが好印象である。
本格というジャンルのガジェット的な要素だけでなく、「先行作との関連」「アクロバットの美学」など、普通 のミステリ論では珍しい分類もあって、まさに「鑑賞術」という意味で楽しく読める。
とはいえ、ある程度の本格ミステリに関する知識と読書量を備えていないと、読むのはお勧めしない。入門書ではなく、極めてマニア向けの本です。