とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

上手さと同時に弱さが見える短編集 小鷹信光:編『ジャック・リッチ―のあの手この手』

編訳者である小鷹さんのテンション高い前口上と、ネット上の感想などの世評の高さ、そして既存の短編集の内容から、読む前にかなりハードルが上がっていた本。

読み終わった結果からいえば「さすがの面白さ。でも一気に読むのはおススメしない」といったところだろうか。本書の売りである多彩なバラエティが、パンチ力に欠けるという作者の弱さも浮き彫りにしてしまっている感があり。

そういう意味で、毎日息抜きに一編ずつ読む、くらいのスピード感がちょうどいいように思われた。と言ってもこれは贅沢な物言いだよなという自覚も捨てきれないのだが。

好みの作品は、ミステリ風味の怪作「ABC連続殺人事件」、意外な野球小説「リヒテンシュタイン盗塁王」、くだらなさでは抜群の「保安官が歩いた日」、ゾッとする幕引きの「ダヴェンポート」辺りでした。