軍隊を誘致せよ: 陸海軍と都市形成 (歴史文化ライブラリー)
- 作者: 松下孝昭
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: 単行本
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これは面白い! タイトルのせいで忌避されないことを願う好著。
日清・日露戦争後、全国各地で過熱した軍隊誘致運動と、第二次大戦前の都市形成・地域振興の関わりを巡って、様々な角度・資料から検証している。地方への利益誘導や、軍隊と性の問題、基地撤去を求める住民運動の高まりなど、現代に通じる視点 も多い。
軍がもたらした利点についても、そのまま現代に適用できるものではないが、こういう観点からのまちづくり・地域振興の考え方は貴重だろう。唯一、主な話題が陸軍主体で、海軍の話がほとんど見受けられないのは残念。
私の住んでいる町も旧師団司令部所在地であったが、これが県内三大都市の一角を占めるに至った大きな要因であろう。他の県の事例からも分かるように、県庁 所在地一極集中になっていない地域の特性が見えてくるように思う。
現在は観光・文化都市としての性格を強めている我が町だが、その歴史を振り返る中で大切なことに気付かせてくれる本だと言えよう。