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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

共犯者となることを自覚せよ エレン・ウルマン『血の探求』

血の探求

血の探求

 

 主要な登場人物は、大学教授と精神分析医とその患者。心を病んだ教授が安寧を求めて借り受けたオフィスの隣室から漏れ聞こえてくる医師と患者の会話の盗み 聞き、という形で話が進んでいく。

まあ、とにかくこの教授が気持ち悪い男で絶対に友達にはなりたくないタイプなのだが、彼の視点を通さぬ限り、この小説は楽しめない。それは同時に、彼の盗み聞きの共犯者とならざるを得ないということである。二重の意味で嫌な気分にさせられるところが、作者の頭のよさか。全体の構 成がやや散漫な印象は受けるが、こってり濃縮された「物語」が味わえるだろう。

ラストは、ちょっとガツンときた。確かにこれ以外に相応しい締めくくりは無かろうと思われる。