とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

金はこの世の回りもの アルベルト・アンジェラ『古代ローマ15000キロの旅』

古代ローマ1万5000キロの旅

古代ローマ1万5000キロの旅

 

 設定としては前作の次の日を起点として、ローマ最盛期、トラヤヌス帝治下の帝国領内を大巡回する、というもの。しかしその主役は、一枚のセルティウス硬貨なのである。この硬貨が帝国各地の様々な階層の人へと手渡りながら、話は進んでいく。こういう発想は非常に上手い。専門の歴史家ではない著者ならではの手法だ。内容的には、たった一日にローマの隅々が凝縮された前作ほどには圧巻される面は少ないかもしれない。しかし多くの土地の人々や風土が描かれる分だ け、ローマ史入門としては前作よりとっつきやすい内容になっていると言えるだろう。