とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

まだるっこしく書き過ぎなんだよね 笠井潔『吸血鬼と精神分析』

吸血鬼と精神分析

吸血鬼と精神分析

 

俎上に載せられるのはラカン精神分析学だが、構造言語学否定神学などの要素も入ってます。ミステリとしては「血が抜き取られた死体」を巡って、現象学 的本質直観による推理が交わされるのですが……。長い。雑誌連載だったという性格上仕方ないんだろうけど、同じ事実を何度も検討することが精緻な本格ミス テリだって勘違いしてんじゃないのかしらん。『青銅の悲劇』よりはまだマシだったけど、それでもキツイわー。ラストは本格をやや逸脱した部分があるが、こ れは先行する某大家の名作へのオマージュでしょうか。成功してるとは思いませんが。 

とりあえず本格ミステリとしても思弁小説としても、私はもうこのシリーズは楽しめなくなりつつある。というか笠井潔という作家が。それでも、カケルとイリイチ、そしてカケルとナディアの決着は気になる(というかもうそれ以外に興味はない)ので、新刊が出たら読むと思いますけども。とりあえず次作・次々作はもう完成してるらしいから、早く出してほしいです。