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とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

そして時代は動き出す 「坂の上の雲 留学生」

読書以外のすべて
NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 5 留学生 [DVD]

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ドラマ『坂の上の雲』第5話「留学生」再視聴。まずは訪米寸前の真之が子規と交わした場面。「国が滅びるいうことは『文化』が 滅びるいうことじゃ。淳さん、わしはあと、どんぐらい生きられるかわからん。じゃが、わしが死ぬまでに、やり遂げようとすることを、無駄にならんようにし ておくれ」「……よし、引き受けた!」もう、このシリーズ最高の名場面認定してもいいくらいです。 第三話で陸羯南が子規に「君も戦っているじゃないか」と言っていましたが、まさにその「戦っている子規」の壮絶さが伝わってくる迫力。香川照之の演技力に敬服いたします。

次なる見どころは、第二部のもう一人の主役ともいえる広瀬と、運命の美女アリアズナとの出会い。そしてロシア軍人ボリスの登場である。むしろすべてをボリスが持って行ってしまったと言ってよいくらいだ。放映当初から「みんな大好きボリス君」みたいな(ネタ的な)大人気を博していたものだが、それも肯ける。この三者の出会いと別れはまさに悲劇そのものと言ってよいのだが、そこを意図してかせざるか、ボリスの描写に滑稽味を与えることで視聴者の感情移入を、より深めているのだ。

この他、訪米中の真之が米国海軍の理論家マハンと面会し、議論を交わすシーンや、同じく真之が米西戦争の観戦武官として赴いた戦地で、ロシアの観戦武官と 舌鋒を交わすシーンなども忘れ難い。特にマハンが真之に語る「我々に必要なのは、開戦の理由だ。アメリカ国民を怒らせる、単なるきっかけがあればいい」と いうセリフは、アメリカの一面をとらえた真理である。

とまあ、相変わらず素晴らしいクオリティの内容であったが、ラストの渡辺謙によるナレーションがまた素晴らしい。これに限ったことではないが、このドラマ のナレーションは原作にあるものをそのまま使っているわけではなく、いろいろな書物で巡らされた司馬の思索をまとめたものが大半である。しかしそれを不快に感じさせるどころか、このドラマに何よりも相応しいナレーションとして完成させているところに、渡辺謙NHK製作スタッフの素晴らしさを感じることが できるのである。

さて、ここで第一部は終わりを迎え、次回から第二部がスタート。いよいよ物語は大きく動き出す。