とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

「皇帝」であることの自覚と誇りと責任 江村 洋『カール五世:ハプスブルク栄光の日々』

 

いやはや、これこそ「名著」というべき本でしょう。「中世最後の皇帝」と称されたカール五世の、愚直ではあるが崇高な人生を、江村氏が流麗な文章で活写し ている。カール五世という人物に対してはこれまで私は「内憂外患への対応に追われた苦労人の皇帝」くらいのイメージだったのですが、まさかこれほど威風堂々としている方だったとは。「落日の大帝国を支えるために奔走する皇帝」という存在は歴史上ににも何人かいるけど、彼らは皆、魅力的な人物であり、カー ル五世もまた然りだった。近いうちに再読したい本。

 
補足:落日云々はこの場合神聖ローマ帝国」のことであって、「ハプスブルク家」のことではありません