とりあえずかいてみよう

読書とか映画とか音楽のことを書きます。書かない日もあります。でも書こうと思ってます。

読書-評論、レビュー

『人はなぜ物語を求めるのか』

人はなぜ物語を求めるのか (ちくまプリマー新書) 作者: 千野帽子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/03/06 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る 著者いわく、自己啓発本嫌いの人のための自己啓発本である、という。読書中に生まれる感心…

『まちづくり デッドライン』

まちづくり デッドライン 作者: 木下斉,広瀬郁 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2013/04/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「まちづくり」に求められるのは適正なマネジメントによって持続可能となる事業活動であり、そのためには…

『テロルとゴジラ』

テロルとゴジラ 作者: 笠井潔 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2016/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 書き下ろしである表題のテキストは、笠井ならではのパラノイアックな論理の堅牢性と、一転してアクロバティックな論理の飛躍のバラン…

『アクロイドを殺したのは誰か』

アクロイドを殺したのはだれか 作者: ピエールバイヤール,Pierre Bayard,大浦康介 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2001/09 メディア: 単行本 クリック: 4回 この商品を含むブログ (16件) を見る 『アクロイド』読書会用に再読。著者はフランスの文学者で…

現代日本文学史の交通整理としては最適か 佐々木敦『ニッポンの文学』

ニッポンの文学 (講談社現代新書) 作者: 佐々木敦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/02/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る 日本の文芸批評では周知のように受け入れられている「純文学と大衆文学」という視点から意識的に脱却し、純…

「人に本を薦める」最良のあり方 文芸春秋『暗黒小説へようこそ』

暗黒小説へようこそ ミステリーのプロが解説する、ジェイムズ・エルロイの世界【文春e-Books】 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/05/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る エルロイの新作『背信の都』刊行を記念しての、無料の解説本(…

ホームズ物語を「現代の神話」たらしめる熱量が集約された一冊 アレックス・ワーナー『写真で見るヴィクトリア朝ロンドンとシャーロック・ホームズ』

写真で見るヴィクトリア朝ロンドンとシャーロック・ホームズ 作者: アレックスワーナー,Alex Werner,日暮雅通 出版社/メーカー: 原書房 発売日: 2016/02/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る この本のタイトルは『文章で読むヴィクトリア朝ロン…

ハードボイルドを体現した人生 小鷹信光『私のハードボイルド』

私のハードボイルド―固茹で玉子の戦後史 作者: 小鷹信光 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2006/11 メディア: 単行本 クリック: 10回 この商品を含むブログ (23件) を見る 著者追悼の意味を込めて再読。日本におけるハードボイルド文化の第一人者が、自身…

正統派の評論、とは言い難い内容だが…… 門井慶喜『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』

マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代 作者: 門井慶喜 出版社/メーカー: 幻戯書房 発売日: 2015/10/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る ジョセフィン・テイの名作『時の娘』を皮切りに、『緋色の研究』『アッシャー家…

言語による「梶浦由紀の世界」の再演 『ユリイカ 2015年11月号 特集=梶浦由記』

ユリイカ 2015年11月号 特集=梶浦由記 -See-Saw、FictionJunction、Kalafina・・・世界を奏でる音楽 作者: 梶浦由記 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2015/10/26 メディア: ムック この商品を含むブログを見る まず私は梶浦さんの音楽をFiction Junctionお…

ラーメンが繰り出す「論理のアクロバット」 速水健朗『ラーメンと愛国』

ラーメンと愛国 (講談社現代新書) 作者: 速水健朗 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/10/18 メディア: 新書 購入: 5人 クリック: 371回 この商品を含むブログ (93件) を見る 本格ミステリにおける評価軸のひとつに「論理のアクロバット」という観点があ…

「読むこと」そして「書くこと」への自覚 山本貴光『文体の科学』

文体の科学 作者: 山本貴光 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/11/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (25件) を見る 本書で語られる「文体」とは、小説技法的なそれに限定されない。綴られる文章の性格(法律を説明するのか、科学を論じるのか、…

「稀代の才能」を読み解く二人の読み巧者 殊能将之『殊能将之読書日記2000-2009』

更新再開しますと宣言しておきながら、結局放置プレイになってしまっており本当に申し訳なく思っている。 ちなみに来年の春、青森県弘前市で「翻訳ミステリー読書会」を立ち上げることを決意し、現在twitterほかでいろいろ画策しております。 twitter.com ま…

雑学の愉しさが味わえる 堀啓子『日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ』

日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書) 作者: 堀啓子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/09/24 メディア: 新書 この商品を含むブログ (8件) を見る 西洋における「探偵小説」というジャンル小説の勃興から、開化期の日本への…

「何かを語る」ことの、理想形 霜月蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』

アガサ・クリスティー完全攻略 作者: 霜月蒼 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/05/14 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ミステリ書評家・霜月蒼氏による「クリスティ作品を、古典としてでなく今ここにある新作とし…

「読者」と「小説」の距離感を問う本 『シャーロック・ホームズの誤謬 『バスカヴィル家の犬』再考』

シャーロック・ホームズの誤謬 (『バスカヴィル家の犬』再考) (キイ・ライブラリー) 作者: ピエール・バイヤール,平岡敦 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2011/06/29 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (4件) を見る 訳者解説で指摘…

本格ミステリへの知識と愛の詰まった一冊 福井健太『本格ミステリ鑑賞術』

本格ミステリ鑑賞術 (キイ・ライブラリー) 作者: 福井健太 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/03/22 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (9件) を見る 「原則」「鑑賞」「技巧」「発展」の四部構成で、古今東西の本格ミ…

「語る」ことの難しさと楽しさ 岡田暁生『音楽の聴き方』

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書) 作者: 岡田暁生 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2009/06 メディア: 新書 購入: 22人 クリック: 513回 この商品を含むブログ (87件) を見る 著者は「音楽を聴く」とは「音楽を語る」ことだという。そ…

イギリス人らしい、シニカルでユーモラスな「料理あるある」 ジュリアン・バーンズ『文士厨房に入る』

文士厨房に入る 作者: ジュリアン・バーンズ,堤けいこ 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2010/05/20 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログ (6件) を見る 現代英文学の大家、ジュリアン・バーンズが綴る、料理エッセイ。グルメ談義ではな…

基礎教養を学べる良書 石井倫子『能・狂言の基礎知識』

能・狂言の基礎知識 (角川選書) 作者: 石井倫子 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2009/02/11 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 5回 この商品を含むブログ (5件) を見る 著者は東大国文学専攻博士課程修了で、中世文学の研究者とのこと。能にまつ…

看板に偽りなき解説書 柳沢新治『能・狂言の見方・楽しみ方』

能・狂言の見方楽しみ方 作者: 柳沢新治 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2012/08 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 著者はNHKで古典芸能番組のディレクターを長く勤められた方だという。というわけで本書の内容も専門的な視点ではなく、初…

欧米的な非定型詩が苦手なのです ポー『詩と詩論』

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5) 作者: エドガー・アラン・ポオ,福永武彦 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1979/11/23 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (12件) を見る やはり私は詩が分からんので、この本に載っている…

魅力的なキャラクターのテンプレート化 榎本 秋ほか『ライトノベル・ゲームで使える魅力あふれるストーリー作りのためのキャラクター事典100』

ライトノベル・ゲームで使える魅力あふれるストーリー作りのためのキャラクター事典100 作者: 榎本秋,諸星崇,榎本事務所 出版社/メーカー: 秀和システム 発売日: 2012/12 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る かつてソード…

リアルな「フィクションの登場人物」みたいなひと 二階堂奥歯『八本足の蝶』

八本脚の蝶 作者: 二階堂奥歯 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2006/01 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 401回 この商品を含むブログ (132件) を見る もう何回目かも分からないけど、再読。web日記はリアルタイムで読んでいたし、実はですぺらにも…

乾いた死があるのみ 山平重樹『ヤクザの死に様』

ヤクザの死に様―伝説に残る43人 (幻冬舎アウトロー文庫) 作者: 山平重樹 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2006/12 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 4回 この商品を含むブログ (2件) を見る アウトレイジ1と2のBlu-Rayを買ったので父に見せてあげたら、…

「イエスとブッダにはパネェ秘密があったんだよ!人類は滅亡する!!」「な、なんだってー」 英和出版『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』

聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密 (英和MOOK) 出版社/メーカー: 英和出版社 発売日: 2013/08/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 軽さと真面目さが絶妙に混在している。ある意味、本編より笑った。